息切れしながらも私を睨む紗希。 「おい紗希、落ち着けって…」 正輝が紗希をなだめようとするけど、 知らなかった。 紗希が、こんな風に怒鳴るなんて。 私のこと、そんな風に思ってたなんて。 「茉理、私、あなたのこと親友だなんて 一度も思ったことないから。」 親友だって思ってたのは私だけだっただなんて。 「行こう、正輝。」 「お、おう…。」 正輝の手を取って教室を出ていく紗希。 静かな教室に、独りぼっち。 そうか、私に友達なんて、 一人もいなかったんだ。