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翔太くんの大学は私の高校の前のバス停からバスに乗れば15分で着く距離にある。ちょうどのバスが出てたので仙崎とは分かれてルンルンで乗車した。
私にはちょいと手の届かない、地元どころか全国でもそこそこ名の通った、偏差値お高めの国立大学。
翔太くんてば頭も良いのだ。なんせ、ノー天気な私は受験戦争真っただ中の夏休み前に空気も読まず告白したのに、当時受験生だった翔太君はそれを受け入れてくれて、さすがに頻度は少なかったけれどラインのやりとりや図書館デートと両立しながら勉強して第一志望に合格してるんだから。
去年は翔太君の受験であまり遊べなかったから、この春からは二人でいろいろなところに出かけられて、それだけで私は幸せ。
本当は私も翔太君と同じ大学に行きたいと思って最近少し勉強を頑張っているけど、結果はあまり芳しくない。まあまだ時間はありますからね! こっから大逆転もあり得る。……大逆転しないとありえないけど。
いざキャンパスに着くとどこまで敷地に入っていいのか判断できなくて、大学の入り口のところで待つことにしたのだけれど、制服のせいか見知らぬ大学生にじろじろ見られた。
……結構恥ずかしいな。
ていうか翔太くんもこんな大学の真ん前で制服姿の私と会ってたら目立っちゃうんじゃないだろうか。しょ、翔太君が私のせいで大学の人にロリコンて思われたらどうしよう。
ただでさえうちの彼氏はカッコよくて人目を引くのに。私がここにいたら翔太くんの迷惑になるかも。……やっぱ場所を変えてもらって、向かいのコンビニで待機したほうがいい気がする。
「なーるみん」
考えて、そろそろと方向転換を始めたところで不意に名前を呼ばれた。振り返ればいつの間にか翔太くんが真後ろに立っているからビビった。
いつの間に。
昨日会ったばっかりだけど、普段はあまり会えないからまたドキドキしてくる。
茶髪はサラサラで、伸びた前髪が目にかかっているのが大人っぽい。183センチというモデル並みの高身長。加えてスタイルの良さ。
なぜこんな完璧な人の彼女になれたのか、私自身未だに分かっていない。なるみんて。なにその呼び方可愛すぎ嬉しい好き。
こんなに大好きなんだ。少しくらいのわがままも許すし、元カノのお下がりだろうがなんだって、翔太くんがくれるものは全部宝物だ。
さっきまで散々樹里に愚痴っていたけど、途端になんか全部どうでもよくなった。
きっと樹里も仙崎も、本気の恋をしたことがないから私がバカに見えるだけだと思うの。
くー神様。翔太君を地球に産んでくれてありがとう!
「……おーい、成美ちゃーん?」
「あっ! うん! 翔太君! 好きすぎる! 会えてうれしい!」
あ。やばい。翔太くんに見惚れて意識飛んでた。
つまらない子だと思われたら大変だ。不思議そうに私の顔の前で手を振る翔太君のおかげで我に返り、慌てて思ったことをそのまま伝えた。ふー、危なく伝えられないとこだった。絶対に全部言いたい。翔太君といて生まれる感情は全部伝えたい。

