外食なんてもったいなくて、できなくなりそうだ。


 そして、俺の手料理を水野は「おいしい」と言いながら食べてくれるから、作りがいがある。


 俺は何でもそつなくこなす。


 だから、まともな飯ぐらいお手の物だ。


 特別おいしいとも思わないが、水野と食べるとうまく感じる。


 水野の料理には到底及ばないが。


 それにしても、これだけうまい飯を食っていたら肥えてしまいそうだ。


 幸せ太りなら、良いだろう。



「明日も平気か?」



 そう俺が聞くと、水野は笑顔で頷く。













 一緒に夕食を取る曜日を決めているわけではない。


 だからいつも、こうやって聞く。


 用事がなければ、いつも笑顔で頷いてくれる。


 本当は毎日一緒に飯を食いたいが、日曜日ぐらいは俺抜きでのんびりしたいだろうから我慢する。


 だが、今は偏頭痛で俺が苦しんでいるのをほっとけないらしく、日曜日も様子を見に来てくれたりする。


 偏頭痛様々だ。


 こう毎日のように一緒に過ごすが、鬱陶しいと感じない。


 誰かと四六時中いるなんて、ごめんだと思っていた俺にとっては驚くべきことだ。


 マイナスイオンが満ちているから、むしろ気分が良い。


 偏頭痛も良い食事が取れているからか、いつもよりも軽い。


 良いこと尽くめだ。













「本当に涙ぐましいほど、惚れてるな」



 毎日のように一緒に夕食を取るようになれば、三人は勘付く。


 俺の熱心さに、少し呆れているようだ。


 この約束を取り付ける労力の数百倍の価値はあった。


 しかし、これで満足はしていない。


 これを数千倍にしなければ。


 頼み込んでようやく手に入れたチャンスをどこまで生かせるかは俺次第だ。