「間瀬くん。何でいるの?」
「何でなんて、俺の台詞だよ」
久しぶりにあった間瀬くんは、相変わらずかっこよくて。
金髪にも見える茶色い髪も、汚いものなんか何も知らないみたいな澄んだ瞳も、そのままで。
照れたように手で髪をかき上げた時に見えた耳には、ピアスも、ピアスの穴もなくて。
むき出しになった、無防備な耳たぶにドキッとした。
「新しい俺のヘアメイクさんの名前を、マネージャーから聞かされたときには驚いたよ」
羽織った真っ黒のロングコートの裾を揺らしながら、間瀬くんが近づく。
「いつか、絶対に俺のところに来てくれるって信じてた」
間瀬くんが、真っ直ぐに私に向かって手を差し伸べる。
誘われるようにその手を握ると、私の体を引き寄せた。
その拍子に、耳に当てていたヘッドホンがずれて、そこから大好きな間瀬くんの歌声が漏れる。
私が聞いていたのが、間瀬くんが所属するSoul Loversの曲だって気づくと、
間瀬くんは照れたように笑った。


