縁というものに不思議さを感じます。普段は全くと言っていい程に会わないのに、些細な事で縁が生まれると不思議と会うことが多くなります。縁が無いときは意識をしてないせいもあるかもしれませんが、やっぱり縁の繋がりが出来ると引き合うものだと私は感じます。
その彼女と些細な縁が出来てからというもの、彼女とは良く会うようになりました。
仕事帰り、出掛ける時など、その度に挨拶をしたり世間話しもするようになり、ちなみに彼女の一方通行の喋りですが。
一度、同時に部屋を出て顔を合わせた時は二人で笑ってしまいました。
次第に親しくなり始め。
最近は会う度に「よっ、林田」と、それになぜか蹴りを入れてきます。
蹴られてばかりだから、時々避けると彼女は本気でパンチの連打してきて、これがまたけっこう痛いです。
その位親しくなりました。
親しくはなったのですが、実は彼女の名前を知りません。互いに自己紹介も何もしていないのです。私の名前が林田と彼女が知っていのは作業着に付いているネームプレートで知ったんだと思います。
互いの事を知らなくてもこんなに仲良くなれるものなのかと驚きです。
また一つ知った彼女の事はかなりの酒飲みです。私はほとんど飲みませんが。
コンビニで会った時は酒とつまみを買い。
帰宅時に会うと必ず酔っぱらっています。
そんな彼女だからこそ親しみを感じられたのかもしれません。
その酒飲みが災いしたのかコンビニの前で彼女が3人の男にナンパされ絡まれていたのです。
私は急いで助けに入りました。私は体格が人一倍大きいので見た目だけで威圧出来ると思い、男たちの前にたちはだかり睨みをきかせたら3人の男は文句を言いながら去って行ったのです。色々な意味で良かった。
いつもは強気な彼女ですが、やっぱり怖かったみたいで少し震えてました。彼女を肩を抱えアパートに戻ると彼女が。
ごめん、もう少し一緒にいて
と言ったので私の部屋に入れてあげました。
彼女に温かいコーヒーをいれてあげて、自分は作業着を着替えていたら彼女がいいました。
林田、めっちゃガタイいいよね
実は実家が歴史ある空手の道場をしていて幼少の時から空手をやらされていました。
それで体も大きく、かなりの筋肉質、空手は範士の称号を持っています。
さっきの色々な意味で良かったのはケンカは勝てる自信はありますが暴力は嫌いです。それに暴力沙汰になったら実家で大問題になってしまいす。
その事を私なりに説明をしたら彼女は相変わらず大笑いしながら「マジ、ウケる」と本当にウケていました。
彼女が落ち着いたみたいで帰ると言い、帰り際に笑顔でありがとうと言って私に抱きついてきました。そして、手を振りながら部屋へ戻り、私はというとその場に放心状態になってしまいました。
私の人生の中で女性に抱きつかれたのは、母以外で、生まれて初めての出来事なのです。
その場にどのくらい放心していたかはわかりません。その後の記憶もないくらい衝撃的でした。
初めて仲良くなった女性で何も分からないことだらけ、私は不思議な気持ちと深い思考に落ちました。