わたしは元婚約者の弟に恋をしました

 メニューは一ページに一品ずつ写真とともに、デザートの原料とともに紹介されていた。アレルギーなどの対策も兼ねているのだろう。また、メニューも冊子になっているのではなく、ファイルで綴じられていた。そして、何よりも驚いたのが価格だ。かなり低く抑えられていた。

「日ごとにメニューが代わるんだ。どうしても原料が手に入らなかった時なんかのためにね。だからこういう風にメニューの入れ替えをしやすくしている。最初は大変だったみたいだけど、今は来るお客さんのほうも慣れたみたいで、受け入れられているよ」

「そうなんだね」

 きっとお店を経営していくには大変なんだろう。お客さんが入らないと入らないで大変だし、入ればそれなりに問題も生じそうだ。

 わたしはメニューに視線を落とした。

 どれもおいしそうで目移りをしてしまったが、わたしはガトーショコラとコーヒーを岡本さんはシュークリームとコーヒーを注文することにした。

 すぐに亜麻色のエプロンを身に着けた茉優さんがお水を持ってやってきた。

 岡本さんが注文する品を伝えると、彼女はメモを取り、お店の奥のほうに戻っていった。