本当にさすがだ。彼が見たことあると言うのが実際にありえそうだと思うほど、彼女は様々な媒体でインタビューを受けていた。有名なデザイナーを叔父に持つ、若手で、才能豊かで、美人でもある彼女にはメディアの反応もよかったのだろう。彼女がそうして顔を出すたびに、わたしたちの事務所にくる仕事の相談もぐんと増えた。
「でも、先輩には先輩のいいところがあるんだから無理に比較しなくてもいいんじゃないかな」
「いいところって、わたしは何一つ仁美に優っていることってないもの。別に勝ち負けを競っているわけじゃないけどね」
「俺はあまり絵を描くのは好きじゃないし、よくわからない。確かにあの人の絵はすごいと思うけど、俺は先輩の描く絵も好きだよ」
「わたしの描く絵ってみたことあるの?」
わたしは卑屈っぽく彼に問いかけた。彼がその場限りの気休めを言っているに違いないと考えたからだ。
「あるよ。高校の文化祭のとき見に行ったことあるもの。美術部は作品の展示をしていたよね」
わたしは顔を引きつらせて彼を見た。確かに高校のときは美術部で、文化祭は三年間、作品の展示をしていた。
「よくそんなの覚えているね。何年前だっけ?」
わたしが数字を頭の中で数えていると思いがけない言葉が届いた。わたしの数字のカウントが一気に止まった。
「先輩の絵を見るために文化祭に行ったんだから、当然覚えているよ」
「でも、先輩には先輩のいいところがあるんだから無理に比較しなくてもいいんじゃないかな」
「いいところって、わたしは何一つ仁美に優っていることってないもの。別に勝ち負けを競っているわけじゃないけどね」
「俺はあまり絵を描くのは好きじゃないし、よくわからない。確かにあの人の絵はすごいと思うけど、俺は先輩の描く絵も好きだよ」
「わたしの描く絵ってみたことあるの?」
わたしは卑屈っぽく彼に問いかけた。彼がその場限りの気休めを言っているに違いないと考えたからだ。
「あるよ。高校の文化祭のとき見に行ったことあるもの。美術部は作品の展示をしていたよね」
わたしは顔を引きつらせて彼を見た。確かに高校のときは美術部で、文化祭は三年間、作品の展示をしていた。
「よくそんなの覚えているね。何年前だっけ?」
わたしが数字を頭の中で数えていると思いがけない言葉が届いた。わたしの数字のカウントが一気に止まった。
「先輩の絵を見るために文化祭に行ったんだから、当然覚えているよ」



