そのとき、彼の携帯が鳴る。彼は携帯を確認すると、わたしたちに「じゃあ」と声をかけた。彼はその場で携帯を受け、来た道を戻っていった。
彼氏に振られ、仕事もできないわたしとは違い、彼女にはあんなにかっこいい、それでいて思ってくれる人がいるんだ。
「優しそうな人だね」
「まあ、面倒見がいい人だもの」
さっきより明るくなった彼女の表情を見ていると、彼女もまんざらではないんだろうという気がした。
「そろそろ行こうか。かなり時間を無駄にしちゃったね。わたしのせいでごめんね」
仁美が慢心で嫌な人間ならわたしにも救いがあっただろう。けれど、彼女は完璧すぎた。そして、わたしがほしいものを全て持っていた。
少し前までは彼女の良さを認めていたはずなのに。恋人ととの別れなのか、それとも彼女を思う存在を知ったからなのか、わたしは卑屈な気持ちで彼女を見てしまっていた。
このままだといずれ仁美にも知られてしまうかもしれない。
辞め時なのだろうか。今ならもっと別の仕事に就けるかもしれない。このままここにいても仁美のおこぼれを預かり、無意味に足掻き続けているだけなのだから。
彼氏に振られ、仕事もできないわたしとは違い、彼女にはあんなにかっこいい、それでいて思ってくれる人がいるんだ。
「優しそうな人だね」
「まあ、面倒見がいい人だもの」
さっきより明るくなった彼女の表情を見ていると、彼女もまんざらではないんだろうという気がした。
「そろそろ行こうか。かなり時間を無駄にしちゃったね。わたしのせいでごめんね」
仁美が慢心で嫌な人間ならわたしにも救いがあっただろう。けれど、彼女は完璧すぎた。そして、わたしがほしいものを全て持っていた。
少し前までは彼女の良さを認めていたはずなのに。恋人ととの別れなのか、それとも彼女を思う存在を知ったからなのか、わたしは卑屈な気持ちで彼女を見てしまっていた。
このままだといずれ仁美にも知られてしまうかもしれない。
辞め時なのだろうか。今ならもっと別の仕事に就けるかもしれない。このままここにいても仁美のおこぼれを預かり、無意味に足掻き続けているだけなのだから。



