「ああいうのを見ると嬉しくなるよね」

「そうだね」

 彼女はまるで最愛の人を見つめるかのように、頬を赤らめていた。

 そんな彼女は愛らしいと思うと同時に、わたしの中に言いようのない感情がわき上がった。

 わたしにはきっとどれほど足掻いても届かないものだ。

 彼女は自分がデザインしたあらゆるものを覚えていた。その仕事が大きいかそうでないかは関係ない。そのキャラを使ったグッズを持っている人を見るだけではなく、ネットなどで自分のイラストを真似て描いているのを見かけるだけで彼女はとても嬉しそうな反応を示していた。

 何で彼女はこう輝いているんだろう。

 わたしにも彼女みたいな才能があればいいのに。挫折をしたことがないからか、家が金持ちだからか、彼女の性格も朗らかで前向きだ。

 一方のわたしは憧れを持つこの仕事に就き、それなりの恵まれているだろう。けれど、全てがわたしの上位互換であり、才能があって輝いている彼女の傍にいても、ただむなしくなるだけのような気がした。


 わたしは昔から絵を描くのが好きだった。勉強そっちのけで絵を描いていて、親によく怒られていたりもした。

小さなコンクールで入賞したこともあったし、美術の成績もよかったし、それなりに上手なほうではあったとは思う。

将来は絵を描く仕事に就きたい。けれど、芸大を選択する勇気はなく、なんとなしにみんなと同じように大学まで行った。