彼は短くため息をつき、わたしの腕を離した。

「分かった。ついてきて」

 彼はその足でそこから目と鼻の先にあるコンビニに入った。

 そこでレジの近くにある温かい飲み物が売っているコーナーにわたしを連れて行った。

「お茶でいい?」

 わたしが頷くと、彼はそれをレジに持っていき購入してしまった。それをわたしに渡した。

「今日はごめん。バス停までは送るよ」

「まだ明るいから大丈夫だよ。わたしこそ、ありがとう」

 食事に比べると気軽に受け取れるものだったので、わたしはお茶のペットボトルを見せて微笑んだ。

 お店を出ると、彼は何かを思いだしたように、メモ帳を取りだすとそこに何かを書き足した。

 そこには携帯の電話番号が記されていた。

「今回みたいなことにならないように、何かあったらかけてきてよ。先輩からならいつでも大歓迎だから」

 大げさな言葉に笑ってしまったが、わたしは家に帰ってからメールをする約束をすると、彼と別れ家に帰った。



 約束通りに家に帰って彼にメールを送った。彼から了解という短い返事がすぐに届き、わたしは彼のあの言葉を思い出し、少しだけ笑ってしまっていた。