わたしは元婚約者の弟に恋をしました


 彼女は白い封筒を差し出した。

「土曜日の分のお釣り。ほのかから渡しておいてほしいの」

 わたしはそれを見て思い出した。わたしは彼にお金を払ってもらっていたのだ、と。どうせなら今日会ったときにお金を渡しておけばよかった。

「分かった。わたしておくね」

 一応、彼はわたしの知り合いということになっているし、わたしも彼にお金を返しておかないといけない。

 今日会って、明日も会うのは奇跡に近いのだろうか。

 とりあえず明日もあの公園に行ってみよう。

 そう決意して、届いたコーヒーを口に含んだ。