歳の近い同僚といってもわたしと仁美ではかなり立場が違う。仁美は若いながらもその才能を発揮していた。もともと学生時代からコンテストで賞をもらったりと、対外的な評価もすこぶる高かったようだ。彼女の能力は誰もが認め、叔父さんの会社であろうとコネ入社など陰口をたたく人間はどこにもいなかった。

わたしはそのアシスタント的な立場だ。そこまで能力が高くなかったわたしがこの会社に就職できたのも、仁美の存在があったからではないかとひそかに考えていた。彼女のアシスタントや、話し相手として歳の近い女の子を求めていたのではないか、と。それらしいことを入社後に不意に聞いたことがあり、確信へと変わっていた。

 卑屈になる必要はないとは思っていた。それほどわたしと仁美ではあらゆるものが違っていて、僻むのもおこがましいくらいだ。それにチャンスを与えてもらったのは間違いない。仁美もわたしに技術的なことをメインにもったいぶることなく教えてくれていた。わたしはそんな彼女を尊敬していた。

 仕事でも一緒にいることが多いからか、わたしと仁美は何かと一緒に行動することが多かった。打ち合わせで外食をしなければならないことも多いからか、仁美は誰よりも健康に気を使っている。そんな彼女は大抵弁当を持参していて、わたしも彼女につられる形で、弁当を持ってきて一緒に食べるようになっていた。

もちろん食べられないときもあるが、それはそれだと割り切っているようだ。わたしは母親が作ってくれるが、仁美は自分の弁当を自分で作っているらしく、彼女の何でもこなす姿勢には頭が上がらない。

 土曜日に友人と過ごし、日曜日には家で過ごした。日曜日の昼過ぎに両親に結婚の話がなくなったことを伝えた。両親は顔を強張らせたが、二人とも「そう」と言っただけで理由を聞いてこなかった。