家に帰るとわたしはソファに腰掛けた。
聖にどう言えばいいのだろう。まずは謝らないといけない。わたしが雄太と付き合っていたことを黙っていたのを。そして、彼と付き合っているのを知られたくなくて、彼に別れを告げたことも。
「文化祭か」
舞香の言ってたことを思い出し、わたしはクローゼットを開けると、高校のときに使っていたスケッチブックを取りだした。そして、それをぱらぱらとめくった。
もっとも文化祭で提出した絵は美術部の部室に保管されているため、絵自体は残っていない。そもそもわたしは何を描いたのだろう。
だが、高校の時に使っていたこのスケッチブックに、何かとっかかりがあるかもしれないと考えたのだ。
そのとき、わたしの手はある一枚の描きかけの絵で止まる。そこには真剣な表情の女の人の姿があったのだ。
その絵は途中で修正して、笑顔を浮かべている女性の絵に描きかえた。そして、高校の文化祭で提出することになった。なぜわたしがその絵を描いたのかといえば、ある少年に出会ったから……。
公園で佇んでいた彼は、小柄でわたしよりも小さかった。
泣いている彼が気になり、わたしは声をかけたのだ。そのとき、彼は言っていたのだ。お母さんが亡くなった、と。
聖にどう言えばいいのだろう。まずは謝らないといけない。わたしが雄太と付き合っていたことを黙っていたのを。そして、彼と付き合っているのを知られたくなくて、彼に別れを告げたことも。
「文化祭か」
舞香の言ってたことを思い出し、わたしはクローゼットを開けると、高校のときに使っていたスケッチブックを取りだした。そして、それをぱらぱらとめくった。
もっとも文化祭で提出した絵は美術部の部室に保管されているため、絵自体は残っていない。そもそもわたしは何を描いたのだろう。
だが、高校の時に使っていたこのスケッチブックに、何かとっかかりがあるかもしれないと考えたのだ。
そのとき、わたしの手はある一枚の描きかけの絵で止まる。そこには真剣な表情の女の人の姿があったのだ。
その絵は途中で修正して、笑顔を浮かべている女性の絵に描きかえた。そして、高校の文化祭で提出することになった。なぜわたしがその絵を描いたのかといえば、ある少年に出会ったから……。
公園で佇んでいた彼は、小柄でわたしよりも小さかった。
泣いている彼が気になり、わたしは声をかけたのだ。そのとき、彼は言っていたのだ。お母さんが亡くなった、と。



