「だから、あなたが聖と幸せになりたいと思うなら、彼ときちんと話し合えばいい。きっと聖はどんなことでも受け止めようとして、これからのことを考えようとしてくれるだろうから。聖はあなたのことを何も言わないけど、あなたを思い続けているんだろうなと思います。あなたをすぐに忘れられるのなら、聖はきっとあなたをずっと好きでいなかったと思う」
茉優さんの目が潤んでいた。それは聖だけではない。彼女もそうだ。
「茉優さんはわたしが雄太の元婚約者だったと知っているんだね」
彼女は首を縦に振った。
「二人で一緒にいるのを偶然見たことがあった。そのとき、聖に言えば、聖はあなたを忘れてくれると思って、聖に言おうとしたんです。でも、言えなかった。彼が傷つくのはどうしても見たくなかった。それが一時しのぎでしかないと分かっていても。聖が知っているかは分かりません。でも、気付いていた気もします。だって、お兄さんが婚約したと言ったとき、すごく暗い表情を浮かべていたから。最初は自分の兄を取られるのが嫌なのかと思っていた。でも、春奈さんとの婚約を知った時にはホッとしているように見えた」
彼女はそっと唇を噛んだ。
「そのとき、彼にとってあなたもお兄さんも特別な人なんだとよくわかりました。きっとあなたにこんな話をしたのは罪滅ぼしなんです。あなたに声をかけたくてもかけられない聖を見て、背中を押してあげられなかったから」
彼女の瞳には何が映っていたのかは分からない。ただ、彼女なりの聖の幸せを望む気持ちだけは痛いほど理解できた。
茉優さんの目が潤んでいた。それは聖だけではない。彼女もそうだ。
「茉優さんはわたしが雄太の元婚約者だったと知っているんだね」
彼女は首を縦に振った。
「二人で一緒にいるのを偶然見たことがあった。そのとき、聖に言えば、聖はあなたを忘れてくれると思って、聖に言おうとしたんです。でも、言えなかった。彼が傷つくのはどうしても見たくなかった。それが一時しのぎでしかないと分かっていても。聖が知っているかは分かりません。でも、気付いていた気もします。だって、お兄さんが婚約したと言ったとき、すごく暗い表情を浮かべていたから。最初は自分の兄を取られるのが嫌なのかと思っていた。でも、春奈さんとの婚約を知った時にはホッとしているように見えた」
彼女はそっと唇を噛んだ。
「そのとき、彼にとってあなたもお兄さんも特別な人なんだとよくわかりました。きっとあなたにこんな話をしたのは罪滅ぼしなんです。あなたに声をかけたくてもかけられない聖を見て、背中を押してあげられなかったから」
彼女の瞳には何が映っていたのかは分からない。ただ、彼女なりの聖の幸せを望む気持ちだけは痛いほど理解できた。



