家に歩きかけたとき、わたしの足元に頼りない影が振れた。
「ほのかさん」
振り返ると白いコートを来た茉優さんが立っていたのだ。
相変わらず愛らしい彼女の頬は寒さのためか赤く染まっていた。
聖にはあれ以降会っていない。茉優さんも同じだ。もっとも仁美は茉優さんのお母さんの店に足しげく通っているようで、茉優さんと頻繁に会っているようだ。
聖を傷つけたうしろめたさからだろうか。わたしは思わず逃げ出そうとした。その手を茉優さんが掴んだ。
「出会ってすぐ逃げるなんてひどいじゃないですか。社会人失格ですよ」
「あの、ごめん。わたし、でも」
どちらが年上か分からないような、しどろもどろな言葉を綴った。
茉優さんはわたしをつかんでいないほうの手で、額に触れた。
「聖から別れたと聞いて、あなたは未練がないんだと思っていました。でも、仁美さんの言うことや、あなたの今の態度を見ていたら、そうじゃないんだとよくわかりました。あなたはまだ聖に未練があるんですね」
ないと言いたかったが、言えなかった。自分の気持ちが叶わないと分かっていても、まっすぐだった彼女には嘘をつけなかった。
「ほのかさん」
振り返ると白いコートを来た茉優さんが立っていたのだ。
相変わらず愛らしい彼女の頬は寒さのためか赤く染まっていた。
聖にはあれ以降会っていない。茉優さんも同じだ。もっとも仁美は茉優さんのお母さんの店に足しげく通っているようで、茉優さんと頻繁に会っているようだ。
聖を傷つけたうしろめたさからだろうか。わたしは思わず逃げ出そうとした。その手を茉優さんが掴んだ。
「出会ってすぐ逃げるなんてひどいじゃないですか。社会人失格ですよ」
「あの、ごめん。わたし、でも」
どちらが年上か分からないような、しどろもどろな言葉を綴った。
茉優さんはわたしをつかんでいないほうの手で、額に触れた。
「聖から別れたと聞いて、あなたは未練がないんだと思っていました。でも、仁美さんの言うことや、あなたの今の態度を見ていたら、そうじゃないんだとよくわかりました。あなたはまだ聖に未練があるんですね」
ないと言いたかったが、言えなかった。自分の気持ちが叶わないと分かっていても、まっすぐだった彼女には嘘をつけなかった。



