わたしは本を閉じると、何度もため息を吐いた。まだ時刻は一時を回ったばかりだ。
昼ご飯を食べて一息ついたばかりなのに、心は重いままだ。
理由は今日が岡本さんの誘いを断った日だからだ。いつもと同じ日曜日のはずなのに、時間の流れが妙に長く感じていた。
用事があると言って断ったため、そのまま一日を家で過ごせば何も問題はない。だが、何度もいろいろな後悔が生じた。こんな形で彼の誘いを断ってよかったのだろか。もう一度誘われたらどうしたらいいのだろう。
本を読んで時間を潰そうと思っても、文字が頭の中に全く入ってこなかった。
「本当に何をしているんだろう」
わたしは肩を落とすと、部屋を出た。
両親は招待券をもらったらしく、少し離れた場所にある博物館に出かけた。三枚もらったためわたしも誘われたが、両親の誘いも断ってしまった。彼から後に誘われた親からの誘いを受けるのは憚られたのだ。
その足で庭に出ると深呼吸をした。冬なのが嘘なのではないかと思うほど、いい天気だ。



