そんな茉優さんを見てにんまりとほほ笑む。
何かたくらんでいる顔だ。
わたしが制する前に、仁美が先に行動を起こした。
「茉優さんって彼氏いるの? すごくもてそうだよね」
「ちょっと仁美」
「いませんよ。わたし、そんなにもてないし、ずっと好きな人がいるから、別の人にもてたいとは思いません」
「好きな人?」
茉優さんはわたしをちらりと見た。
「ずっと仲の良い友人で、すごく不器用な人です。でも、彼には好きな人がいて、ずっとその人のことを思っていた。わたしは告白して振られているから。でも、それでもっと相手のことを好きになりました。だからって言い寄ったりはしないし、見守りに徹することに決めたんです」
「どうして?」
仁美は意外そうな顔をした。
「だってそれだけ相手のことを一途に思えるってことでしょう。例え、当時は望みがなかったとしても。そういう姿が好きだと思えたの」
彼女は笑っていたが、目にほんのりと涙が浮かんだ。
彼女の岡本さんへの想いの深さに気付いてしまったためだ。
それは彼女の言葉からもそうだし、あえて岡本さんの名前を出さなかったこともだ。仁美がわたしからどんな形であれ、岡本さんの話を聞いていると察したのだろう。そうすることで、わたしをずっと思ってきた相手を奪った女だという意識を仁美に押し付けることさえできたはずなのに。
わたしはそこまで周りを思いやれる茉優さんに嫉妬までしていた。
何かたくらんでいる顔だ。
わたしが制する前に、仁美が先に行動を起こした。
「茉優さんって彼氏いるの? すごくもてそうだよね」
「ちょっと仁美」
「いませんよ。わたし、そんなにもてないし、ずっと好きな人がいるから、別の人にもてたいとは思いません」
「好きな人?」
茉優さんはわたしをちらりと見た。
「ずっと仲の良い友人で、すごく不器用な人です。でも、彼には好きな人がいて、ずっとその人のことを思っていた。わたしは告白して振られているから。でも、それでもっと相手のことを好きになりました。だからって言い寄ったりはしないし、見守りに徹することに決めたんです」
「どうして?」
仁美は意外そうな顔をした。
「だってそれだけ相手のことを一途に思えるってことでしょう。例え、当時は望みがなかったとしても。そういう姿が好きだと思えたの」
彼女は笑っていたが、目にほんのりと涙が浮かんだ。
彼女の岡本さんへの想いの深さに気付いてしまったためだ。
それは彼女の言葉からもそうだし、あえて岡本さんの名前を出さなかったこともだ。仁美がわたしからどんな形であれ、岡本さんの話を聞いていると察したのだろう。そうすることで、わたしをずっと思ってきた相手を奪った女だという意識を仁美に押し付けることさえできたはずなのに。
わたしはそこまで周りを思いやれる茉優さんに嫉妬までしていた。



