彼が熱を出した翌日、メールが届いた。体調がもうかなり良くなったようだ。わたしはよかったと率直な感想を送ったが、それ以降は彼から何の連絡もなかった。

 だが、連絡を取らない時間と否定するように彼への気持ちは大きくなる一方だった。

 少なくともこの気持ちが落ち着くまでは、彼の周辺の人と連絡を取るのを避けようと決意したのだ。

「行きたいのに。だったらほのかがケーキを買ってきてよ」

「だから、ダメなの」

 もちろん仁美には言っていない。言えるわけがない。雄太の弟を好きになったなんて。

 彼から好きだと言われたと言っても、そんなのいけないに決まっている。

 雄太が、それ以上に岡本さんが傷つく姿を見たくなかったのだ。

「ぼやぼやしていたら誰かにとられるよ。好きなんでしょう」

「今はダメなの。仕事も忙しいじゃない」

 彼を好きなことは否定はしなかった。きっと今更否定しても、お土産の一件以来、仁美にはばれているだろうと思ったからだ。それに仕事が忙しいのも本当だった。