この時期にしては強い、太陽の日差しを右手で遮ると、そのまま髪に触れた。そして、目の前にいる長身の男性に同意を求めた。

「どうかな? おかしくない?」

 館川雄太はわたしを見て、優しく微笑んだ。

 今日のために買った茶色のワンピースに、黒のパンプス。ストッキングやショルダーバッグまでも新調した。その姿は脳裏に思い描けるほどに家の鏡で繰り返し確認して、自己評価で満点をあげた。だが、目の前にいる最愛の人の同意が欲しかったのだ。

「おかしくないよ。それにきっと両親もほのかを気に入るよ。両親ともども楽しみにしているんだ」

「ありがとう」

 わたしは優しい言葉に心を和ませた。今のわたしが一番ほしい言葉だ。

 今日に限ったことではない。彼はいつもそうだ。わたしのほしい言葉をいつも口にしてくれた。

 彼、館川雄太はとにかく優しい人だ。

 わたしと彼が付き合い始めたのもそうだし、結婚を現実的な将来として思い描くようになったのも、彼の優しさによるところが大きい。

 雄太はわたしの頭をそっと撫でた。

「それに緊張する必要もないと思うよ。両親は普通の人だし、きっと気に入ってくれると思う。ほのかは母さんには会ったことがあったよね?」

「うん。優しそうな人だね」

 わたしは弾んだ口調で口にした。