私が立ち止まって見ていると
遥が扉から、すっ、と顔を出した。


「気をつけて帰れよ。」


遥が、女性と話している声が聞こえる。


「…心配いらない。

カンパニーから連絡があったら電話する。」


女性がそう言うと、彼女は、すっ、と歩きだした。

その時、階段のところにいた私と目があう。

整った顔に、どきん、と胸が鳴った。


………綺麗な人だな。

本当に、遥の彼女なの…?

でも、遥の部屋から出てきたってことは、やっぱり友達以上の関係なんだよね。


すると、私を見た女性が、キッ!と私を睨んだ。

鋭い視線に、体が震える。


え?

な……なに?睨まれた?


女性は、金髪のロングヘアをなびかせながら私の横を通り過ぎていく。


…私、何かしたっけ?


動揺しながら彼女の後ろ姿を見ていると、背後から遥の声が聞こえた。


「妖の匂いがする。……狩って来たのか?」