百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜




「…あ!ちょっと、待って!まだ話は終わってないでしょ…?」



私は窓から身を乗り出して、遥を見つめた。


すると、遥はからかうような顔をして、私へと視線を向ける。



「まだ俺の話が聞きたいのかよ。

……俺を捕まえられたら“願い”を話してやってもいいけど?」



……!



私と遥の距離は、約二メートル。


遥は、隣の窓から私に「どうせこの距離は届かねぇだろうけどな。」と、少し笑って続けた。



……っ!


毎回毎回私のことをからかって…!


こうなったら、意地でも遥の願いを聞き出してやる。



私は、すぅっ、と息を吸い込むと、カッ!と目を見開いて、部屋の窓枠に足をかけた。


その瞬間、遥がぴくり、と眉を動かす。



「…お前……何して…?!」



そして次の瞬間、私は遥に向かってバッ!と飛び付いた。


ひゅぅ、と、冷たい春の風が頬に当たる。


私の伸ばした腕は、わずかに遥に届かない。



「っ!」



ぐらっ!



視界がぐるりと反転した。


重力に体が引き寄せられていく。



っ!あっ……!



私の体は、真っ逆さまに地面に向かって落ちていった。