百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



え………?


え?!


なに?!!



コンクリートではない柔らかい感触に、咄嗟に足を上げる。


すると、そこには、大きな尻尾の動物が
伸びていた。



「なに…この子…。」



私は、まじまじとその動物を見つめる。


クリクリの瞳に、ふさふさの尻尾。



……これが噂の“バーマン”という種類の猫?


いや、それにしては耳が丸くて、鼻が少し飛び出ている。



……雑種と混じったのかな?



私は数秒見つめて、無意識に小さく呟いた。



「ブサイクな“猫”………。」



すると次の瞬間。


伸びていた“猫”が、ギラリ、と私を睨むと

しゅんっ!と飛び上がり、大きな尻尾で私を殴りつけた。


ボフッ!という感触と共に、ふさふさの尻尾が顔面にヒットする。



「っ?!!!」



私はよろめく。



な……なに?!

馬鹿にされたから?


まさか、人間の言葉がわかるの?!



“猫”は、威嚇をするように私を睨む。


そしてゆっくりと近づいてくると

私の近くで尻尾をぴん、と立てて
ゆらゆら、と揺らし始めた。



な……なに?

なんの儀式??