百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜




“命の恩人”…?遥が?



私は目を細めて遥を見る。



「…よけーなこと言うな。」



遥が、一心にデコピンして軽く睨んだ。



……あの平気で妖を凶暴化させて、命を奪うような遥が、“命の恩人”?



私が納得していない視線を向けると、遥が私の方を見て言った。



「なんだよ、その目は。」



私は、表情を変えずにいる遥に向かって答える。



「…あんな闇のかけらを使って、何にも感じないような人が、妖に慕われてるのが不思議だなって思って。」



私がそう言うと、遥は少し目を見開いて

少しの沈黙の後、視線を落とし口を開いた。



「……なんにも感じないやつなんて、いるのかよ…?」



……え?



私は、はっ、として遥を見上げた。


月明かりが、藍色の髪の毛を照らしている。


その瞳は、どこか悲しく、弱々しい光を宿していた。



「……俺は“願い”の為に、鬼火銃を撃つ。

あのかけらも、カンパニーの開発部が作り出した呪われたかけらだ。……すべてが俺の意思なわけじゃない。」