遊馬も、一気にテンションを上げて芝狸に尋ねる。


「社長!何しに来たんだよ〜!

まさか、またこっちの世界に妖が出たなんて言うんじゃないだろうな?」


すると、芝狸はトン、とテーブルの上のクッションに乗っかって、いつもの定位置に寝転んだ。

そして、私たちを見ながら口を開く。


『いやぁ、お主らに竜ノ神のバイトの報酬を払ってなかったのを思い出してな。

妖界からひとっ走りしてきたんじゃ。』


……“バイトの報酬”…?


その瞬間、私と遊馬の瞳が輝いた。


「ほ…報酬ってまさか!

前に言ってた“土地丸ごと”ってやつ?!」


「社長、本気だったのかよ?!」


私と遊馬が身を乗り出して言った。

確かに、芝狸は前、竜ノ神の力を得ることができたら、バイト代を大幅アップして、さらに土地丸ごとくれてやる、なんて言っていた。

……まさか、本当にその日が来るなんて…!

すると、芝狸は胸を張って口を開いた。


『土地の件は、この事務所をやるから好きに使え!どうせわしの私物じゃからな。

給料の件は約束通り支払うぞ。』




嘘………!やったぁっ!!


ね…

念願の“お給料”………!