百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



私が目を見開くと、周くんは、優しく微笑んだまま続けた。


「……あー、まいったな。やっぱり、大事なところで“アイツ”にかっ攫われるんだ。」


……え?


目をぱちぱちさせて周くんを見ていると

周くんは苦笑して言った。


「…詠ちゃん、今日の占い、見た?」


…!

…う…占い…?


私は、黙って首を振る。

周くんは、ふっ、と笑って、静かに続けた。


「…やっと、背中を押す決心がついたよ。

僕は、詠ちゃんが幸せならそれでいいんだ」





…どういうこと…?


その時、周くんが優しく言った。


「…来てくれて、ありがとう。

詠ちゃんの気持ち…伝わった。」


周くんは、私を階段の方へと振り向かせると

トン、と私の背中を軽く押した。


…周くん……?

一体………どういうこと…?


私が動揺していると、背中から周くんの声が聞こえた。


「…行って、詠ちゃん。“アイツ”の所に。」





私は、その言葉に、はっ!とした。


…い………

………今、なんて…………?