私は、よろり、とよろけるが、負けじと遥から離れなかった。
「お願い…!ここにいさせて…!
……離れたくないよ……!」
遥は、無言で私を見つめている。
その顔は、今までの真剣な表情ではなく
まるで心の中の感情を必死で抑え込むような苦しそうな顔をしていた。
私は、涙を溢れさせながら必死で遥に向かって叫ぶ。
「…やだよ……!どうして……!
どうして、私のことをこんなに好きにさせてから、遠くに行っちゃうの…?」
「!」
遥は、はっ!と目を見開いた。
私は、涙で霞んでよく見えない遥の姿を必死で見つめ続ける。
…最初、遥は“最低男”だった。
私をいきなり抱き寄せて、女の子を振るための道具にした。
いちいち腹立つことばっかり言ってきて、いつも好き勝手して、私をからかっては楽しんでいた。
なのに………
なのに、どうして最後まで“嫌なヤツ”でいてくれなかったの?
どうせなら、私にもっと酷いことをして、嫌いにならせてくれればよかったのに。
遥が、顔を伏せて口を開いた。
「…“歪み”が無くなるぞ。詠、行け…!」



