遥の手が、静かに離れる。
ふっ、と目線を上げると、遥の瞳と目が合った。
その瞬間
私たちは、たぶん、同じことを思った。
“離れたくない”
言葉は何も出てこなかった。
言いたいことはたくさんあるのに、喉がつかえて
何か言葉を紡ごうとすると
すべてが涙へと変わって頬を伝う。
「……泣くなよ。」
遥が、やっとそう言った。
その声を聞いた瞬間。
私は、どっ!と、胸の中の感情が溢れ出た。
「……私も、ここに残る……!」
「…!」
遥が目を見開いた。
私は、遥から視線を逸らさずに言葉を続ける。
「遥が妖界に囚われるなら、私もここから出たくない。
私は、遥とずっと一緒にいる………!」
私の言葉に、その場にいた全員が、はっ、と息を呑んだ。
張り詰めた空気が辺りを包む。
遥が、険しい顔をして口を開いた。
「…何言ってんだ。
…ダメだ。…お前は、帰れ…!」
私は、遥の言葉に負けじと言い返す。
「嫌……!
私のせいで遥が帰れなくなるなんて、そんなのおかしいよ…!」
「…ダメだ、帰れ。」
遥は、表情を崩さぬまま、静かに低い声で私に答える。
……嫌だよ……!
このまま遥と別れたら、二度と遥とは会えなくなる。
声も聞けない。
温もりも感じられない。
…姿を見ることさえ、出来なくなる…!
私は、ぐっ!と手を握りしめて叫んだ。
「やだ!!遥がここに残るくらいなら…
私が代わりに…………」
私がそう、言いかけた時
遥が私の言葉を遮って、大声で怒鳴った。
「俺の言うことを聞け!!」
「!」



