百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



……!


私がピクリと体を震わせた時

周くんが遥に向かって言った。


「まだ……、まだ帰る方法があるはずだ!

九条を一人残してなんて行けない…!」


遥は、周くんの言葉に少し目を見開いて

そして小さく答えた。


「いや…鬼火銃が壊れた以上、俺がこの世界から出ることは出来ねぇよ。」


「!」


周くんが、絶句して遥を見つめた。

周くんは、やり切れないような表情で遥に向かって叫ぶ。


「…そんなことない!

九条!僕の鬼火銃で………」


「周。」


遥は、周くんの言葉を遮った。

そして、少しの沈黙の後、ふっ、と微笑んで言葉を続ける。


「…凛の罪滅ぼしなんて出来ないけど…。

詠のこと、頼んだぞ。」


「!」


周くんが、言葉を失った。

遥の言葉は、周くんの胸の奥深くに染み込んで、過去のすべてを包み込んだ。

しぃん…、とその場が静まり返る。

その時

遥が私から、すっ、と離れた。

私が黙って遥を見上げていると、遥は真剣な表情をして私に言った。


「……詠、今までありがとな。

お前のおかげで、俺は紺から解放された。」