遥は、すっ、と雲の地面に降り立つと、私をぎゅっ!と抱きしめた。
遥は何も言わなかったけど私は、それだけで十分だった。
その時
ズズズ…、と小さく空気が淀む気配がした。
はっ、として顔を上げると、目の前には乱れた呼吸をする紺の姿があった
もうすでに満身創痍といった様子で、戦える妖力も残っていないようだった。
体に埋め込んだ闇のかけらだけがボウッ、と妖しく光っている。
すると、芝狸がゆっくりと紺に近づきながら口を開いた。
『こやつは、もう闇の結晶を取り込んでいられん。
最後にこのかけらを鬼火銃で撃ち抜けば紺は完全に消滅するじゃろう。』
……!
私は、ぎゅっ、と遥の服を掴んだ。
………ついに…
ついに、紺との決着がつく…。



