百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜




っ!


凄まじい妖気が私を襲う。

咄嗟に目をつぶりかけた時、遥の声が耳に届いた。


「動くな!詠!!」


!!


はっ!と目を見開いた瞬間


至近距離まで迫っていた金色の大きな弾丸が、彗星のように飛んできた銀色の弾丸に撃ち抜かれ、目の前でパァン!と消滅した。


「きゃぁぁっ!」


消滅の際に生じた衝撃波で、私の体は宙へと弾き飛ばされる。

狐の面をつけられていた妖も、その衝撃波に飲み込まれて一斉に浄化されていく。

ゴォォッ!と風を切る音が聞こえた。


ぐわん!と世界が傾いた時

私の体を、力強い腕が支えた。





驚いて顔を上げると、そこには、優しく微笑む遥の顔が間近にあった。


「……怖い思いさせてゴメンな、詠。

…もう、大丈夫だ。」


「……!」


は………る……


私は、その言葉を聞いた瞬間

体を縛られたまま、遥に、ぐっ!と体を預けた。

じんわりと、体が温かくなる。


…あぁ………

遥だ…………

遥が、ここにいる…………。