百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


その瞬間

紺を取り巻く瘴気が、一段と暗黒の妖気を放ち始めた。

もう、紺も後戻りをする気はないようだ。


……これが………

“最後の決戦”………!


私は、ぎゅっ!と願うように手を組み合わせて、目の前の光景を見つめた。


……大丈夫………


根拠のない自信だけど

きっと…………


きっと、二人は紺を浄化できる…!


私が、心の中でそう唱えた時だった。

紺が、今までで一番大きな闇の刃を遥と周くんに向けて放った。

それを、遊馬と雅の放った金と銀と弾丸が撃ち抜き、パァン!と弾ける。

と、その瞬間。

周くんが私に向かって鬼火銃の引き金を引いた。


パァン!!


大きな鋭い金の弾丸が一直線に私に向かって飛んでくる。


ビキビキビキッ!!


結界に当たった周くんの弾丸は、反発する結界に負けじと勢いよく力をぶつかり合わせている。


バキン!!


大きなヒビの入るような音が聞こえ、紺の結界に一筋の亀裂が入った。


『ぐ……は…っ!』


紺が、苦しそうな呻き声を上げる。


バキバキバキッ!!


その瞬間。

まるで水晶玉が割れるように、私を取り囲んでいた結界が光を放ちながら粉々に砕け散った。