百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜




「詠!」


その時、遥の大きな声が私の耳に届いた。





はっ!として遥を見ると

遥は力強く笑みを浮かべて私に叫んだ。


「俺は、絶対お前をそこから助け出す!

……俺と周を信じろ!」


「!!」


遥と………周くんを…

“信じる”………!


私は、ぎゅっ!と手のひらを握りしめた。


……そうだ。


私は、今までずっと

この二人を信じてきたんだ。

この二人なら、絶対に成功させてくれる。


…私が不安がる必要なんてないんだ。


私は、遥に向かって大きく頷く。

すると、それを見た遥は優しく笑い、周くんも覚悟を決めたように鬼火銃を構えた。


「……九条…

僕は、お前を信じるぞ……!」


周くんが、鬼火銃に力を込め、体が、ぱぁっ!と金色の光に包まれる。


「……あぁ。

俺も、お前を信じてるよ、周…!」


遥も、鬼火銃を構えて神経を尖らせた。

その場の空気が、ズゥン!と歪む。

見ると、紺が妖力を一気に解放させて、遥と周くんを睨んでいる。


『…本気で私とやり合う気ですね…!

いいでしょう!…受けて立ちます…!』


紺はそう言い放つと、ざっ!と異空間から闇の結晶を取り出した。

そして、大量のかけらを自身に埋め込む。


っ!

な………なにを………!