百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



遥は、それを聞いて頷くと

紺を目線で指しながら素早く言った。


「周は、狸のおっさんの力を借りて、詠の周りの結界をブチ抜け。

出来るだけの力を込めて、大きな弾丸で貫くんだ。」


「!」


周くんは、遥の言葉を聞いて、目を見開いた。


「だ……ダメだ!

そんなことしたら、詠ちゃんに当たった時のダメージが大きすぎる!」


すると、遥は周くんの言葉を遮るようにして続けた。


「…大丈夫だ。

俺が、詠に弾丸が当たる前に周の放った弾を鬼火銃で撃ち抜いて、消滅させる。」




……え…!


私は、遥の言葉にどくん!と胸が鳴った。


…つまり、周くんが私を包む結界である紺の心臓を撃ち抜いて

その弾が中にいる私に当たる前に今度は遥が、その弾を狙って鬼火銃を撃つということ…?


周くんが、動揺しながら言った。


「鬼火銃の弾を撃ち抜いて消滅させるなんて出来るのか…?」


遥は、眉を寄せて答える。


「周がどれだけ“的”を大きく出来るかが鍵だ

それしか方法がないのなら、俺は確実にやってやる。」


どきん…!


遥の言葉に、私は小さく息を吸った。


…周くんが弾を大きくするということは

失敗した時に私が受けるダメージが大きくなるということ。


……それでも………

紺の心臓を撃ち抜くには、それしかない…!