百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



「…行かない、なんて言うと思いました?」


僕の言葉に、芝さんが目を見開く。

僕は、芝さんを見つめながら続けた。


「詠ちゃんを迎えに行きます。

………何があっても。」


『……!……周………。』


芝さんが呟くと

相楽くんと雅くんも僕に続いた。


「仲間は見捨てられない。

佐伯には、たくさん助けられたからな。」


「俺も行く。

…詠がさらわれたのは俺の責任だから。」


芝さんは、僕たちの決意が固いのを見ると、目を伏せて、覚悟を決めたように答えた。


『…わかった。

…お主らを妖界に連れて行こう。』


その時

ザァッ!!と強い風が辺りを吹き抜けた。

バン!と本堂の障子が自然に開く。





驚いて目を見開くと

次の瞬間

僕たちの体がふわり、と浮き上がった。


「な……何だこれ!!」


相楽くんが声を上げると

芝さんがぎゅっ、と眉間にシワを寄せて叫んだ。


『皆の者、歯ァ食い縛れーっ!

“向こう”に吸い込まれるぞ!!』




えっ?!


と、その時

ぐわんっ!と、僕たちの体が本堂に向かって引き寄せられた。


っ?!


そしてそのまま、障子の奥の世界へと
吸い込まれていく。


こ………これ………

妖界に辿り着く前に、死ぬんじゃあ……


思いがけない力に、体がこわばった瞬間

僕の意識は、プツ、と途切れた。



《周side終》