百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



その時、事務所での雅の言葉が頭に浮かぶ。


『遥から聞いたんだけど、加護者ってのは、鬼火銃を通してお互いの状況がわかるんだろ?

遥は、研究所で凛の居場所を探す時も、その力を使ったみたいだけど?』


…!


この時、遥が力を使えることがバレたんだ…!


紺は、私の腕をつかんだまま低い声で言った。


「あなたには、遥君をおびき出すための“餌”なってもらいます。

…あなたを助けるためなら、彼は必ず駆けつけるでしょうからね…!」





まさか…


居場所がわからない遥を探すのではなく

無理やり出てこさせようとしてるの…?!


……私を利用して…!


私は、力の限り抵抗して叫んだ。


「いや!離して!!

遥は、私を助けになんか来ないよ!」


すると、紺はさらに私の腕を掴む手に力を
入れた。

腕に手が食い込むほどの力に私は顔を歪める。


「いや、遥君は必ず現れます。

…抵抗するなら、このまま手を折ることだって簡単に出来るんですよ。」





紺の言葉に体が震えた

その時だった。