百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



…なんで、紺はそのことを…!


その時。

私の頭に雅が事務所で八雲の“伝達蜘蛛”を撃ち抜いた記憶が蘇った。


…まさか、あの時に盗聴されてたの…!


私は、紺を睨んだまま問いかける。


「…私に、遥の居場所を探させるつもり?

悪いけど、それは無理よ。
私は遥の気配なんか辿れない…!」


すると、紺は諦めるどころか
不敵な笑みのまま答えた。


「えぇ…そのことは知っていますよ。

事務所での会話を、聞かせてもらってましたから。」





…やっぱりこいつ、あの時に…!


「じゃあ、私に用はないでしょう!

早くどっか行って……!」


すると、紺は、ガッ!と扉を無理やり開けて私の腕を掴んだ。





な………

何………?!


ぎりぎり、と強く握られる。


「あなたが力を使えなくても、遥君はその力を使いこなせるのでしょう…?」


「!」