百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



ぎゅっ!





周くんが、握っていた手に力を入れた。

強く、強く握りしめる。


「……あ………周くん………?」


すると、周くんが真剣な顔をして

静かに言った。


「…僕なら、詠ちゃんにそんな顔させない。」


………え?


私は、目を見開いた。


「……周くん………?」


小さく名前を呼ぶと、周くんは手を握ったまま答えた。


「九条のことを考えてそんな顔するぐらいなら、いっそアイツのことを頭から消して欲しい。

……もう、九条のことは、考えないで。」





どくん。


心臓が大きく脈打った。


………どういう意味………?


動揺して、周くんを見つめる。

目が逸らせない。

すると、周くんは私をまっすぐ見つめて、口を開いた。


「…詠ちゃんが、九条を好きでも……

僕は詠ちゃんに、アイツを見て欲しくない。」


────!