百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



すると、周くんは私の方を見ずに言った。


「…この公園…小さい頃、姉さんがよく連れてきてくれたんだ。」


…そうなんだ…。

私は、静かに周くんの話を聞く。

周くんは、どこか遠い目をして続けた。


「今まではここに来ると、姉さんのことを思い出すから来れなかったんだけど…

過去の真実を知って、やっと姉さんの思い出と向き合えるようになったよ。」


……。


……“思い出”…か…。


その言葉を聞いて、私は、目の前の景色を眺めながら言った。


「…じゃあ、遥はまだここには来れないかもね。」


「え…?」


私の言葉に、周くんが小さく声を上げた。

私は、静かに続ける。


「アイツにとってこの場所は…凛さんとの大事な思い出の場所だもん。

…幸せな時の思い出がたくさんあるこの場所に、遥はまだ来れないと思う。」