百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜




「…凛、踏ん張れよ。俺、空飛べるようになったんだ。

救急車よりも早く病院連れてってやるから……!」


すると、凛は最後の力を振り絞るように俺のシャツを掴んで、口を開いた。


「……は…る……聞いて………。

わたし……遥に会えて…よかっ…た…」


すると、凛は自分の白衣から一つのお守りを取り出した。

震える手で、俺に差し出す。


「……これ……持って……て…。

遥が……必要になるか…わかん…ない…けど…!」


それは、いつも凛が肌身離さず持っていたお守りだった。

俺は、お守りを差し出す凛の手を、ぎゅっ!と握りしめる。


「…何だよ、これ…?なんで、俺に渡すんだよ?

凛が持ってろ!ずっと持ってればいいじゃねぇか!」


凛は、弱々しく微笑んで俺の瞳を見つめた。

そして、消え入るような声で言う。


「……やっぱり…さいご……まで…

わたしの隣に……いて…くれるの……は…遥…なんだね…」