百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



その時、ブブブ、と凛のスマホが鳴った。

凛は電話に出ると、さっ、と顔色を変えた。


………なんだ?


俺が静かに様子を伺っていると、電話を終えた凛が俯いて、黙り込んでしまった。

俺は、そんな凛を見つめながら尋ねる。


「…どうした?」


すると、凛が落ち込んだ顔で答えた。


「……夏まで、バイトが忙しくなる。

こんな風に、会える機会が少なくなるかもしれない。」



俺は、目を見開いて、そして少し顔を伏せて言った。


「……お前、最近働きすぎじゃないか?全然休めてないだろ?

これ以上忙しくなったら…体持つのかよ?」


すると、凛は今にも泣き出しそうな顔をして言った。


「…それは大丈夫だけど…。

どうしよう、今年のお祭りも行けなかったら…。花火大会は、絶対行きたいのに。」


……体よりもそっちの心配かよ。

本当……バカだ、こいつ。


俺は、はぁ、とため息を吐いて言った。


「もし行けなくても、また来年行けばいいだろ。

…俺はずっと凛の側にいるし。」