百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜




すると遊馬は、はっ、と思い出したように芝狸に向かって言った。



「そういや、社長が戻ってきたら言おうと思ってたんだ。

また変な妖が街をうろついてんぜ?明日の夜あたり、浄化に行くか?」



浄化?


あ、妖界に返すってことか。



遊馬の言葉に、芝狸は頷く。



『最近、妖を野放しにしてたからなぁ。

……明日の夜八時。集合じゃ。』



夜八時!!


そんなに遅くから始めるんだ。


……でも、昼間には出来ないことだよね。

一般の人とかもいるし。



芝狸は私の方をじろ、と見ながら言った。



『もちろん小娘も来るんじゃぞ?

……遅れたら、給料減らすからな。』



えぇっ?!

いきなり減給?!


………一時間前集合しようかな…。



「浄化の仕方は僕が教えるから。心配しないで来てね。」



周くんは、そう言って、にこっ、と笑った。



きゃ〜!王子〜!


行きます!絶対行きます!嵐でも行きます!



私は、自分の首もとに光るネックレスを見た。



……今日が人生のターニングポイントかも。



私は、密かにそう心の中で呟いたのだった。