百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



私は、無意識のうちに遥を抱きしめていた。

遥は、驚いたように体を硬くしていたが、私は遥の胸に顔をうずめたまま言った。


「…私たち、違うようで、どこか似てるね。

お互い、欠けてるものが多すぎる。」


………だから、私は……

心に出来た隙間を埋めるようにして、遥に惹かれていったのかもしれないね。


その時、遥が口を開いた。


「……ゆう……」


それを聞いて、私は咄嗟に言葉を遮る。


「“凛”。」


私の言葉に、遥は小さく息を吸った。


「……“凛”って呼んで…………。

……今日だけ………今だけでいいから。」


すると、遥が、ぎゅっ!と私を抱きしめた。


……!


なぜか溢れる涙を、私は止めることが出来なかった。

初めて、弱さを口にしたその日から。

私たちは、お互いが“特別”になった。



《凛side終》