百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



────冬。


マフラーを巻いた結城は、必ずベンチでココアを飲んだ。

俺が暖かい缶を、不意打ちで結城の頬に当てると、結城は必ずやり返す。

あんまんを食べた日、結城は必ず、そっちも食べたい、と言って、無理やり俺の肉まんを奪おうとする。

結局、いつもお互い半分ずつ交換して食べた。


イルミネーション見に行こう!と誘われた時は、夏の記憶が蘇った。


…結局、夏はどこへも行けなかったんだもんな。


俺は、寒くて凍え死にそうだったけど

結城があんまりにも行きたそうだったから、つい、頷いた。

結城は、クリスマスにイルミネーションを見るためにバイトを詰め込んで、当日は必ず空けようと努力した。

そして、ちゃっかり風邪をひいて、結局クリスマスの日は一日中、俺は、電話で泣いて落ち込んでる結城を慰めた。


…本当、不器用な女。