百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



────秋。


少し肌寒い風が吹いて、公園の木々が紅葉し始めた頃。

結城は、カーディガンの袖から少し手を出して、ベンチに座って焼き芋を食べた。

太るぞ、と言うと、結城は、


「食欲の秋だから、これはいいの。」


と言って笑った。


結城は、〜の秋っていうやつは全部やってみたい。と言って

読書の秋、と言って難しい小説を持ってきて読んでみたり

芸術の秋、と言って有名な画集や音楽を見たり聞いたりしたが

結局、最後は、俺の肩に寄りかかって爆睡した。


…バイトのせいでろくな睡眠取ってないくせに、俺の隣ですごく楽しそうに色んなものを見せてくるから

帰って寝ろ。なんて言えるわけがなかった。


他にも、トンボを指にとまらせようと、ずーっと指を揺らしたり、突き出して待っていたり

鈴虫の声を聞くと、必ず居場所を探したり

子どもみたいな反応をして、俺はなんとなく目が離せなくて、ずっと隣で話を聞いた。


この頃から、結城は、そんな子どものような顔とはまた別に、俺の知らなかった真剣な顔を見せるようになった。

何か、難しい数列が並んだ書類や、計算式を書いたりしていて

……こいつ、本当に同一人物かよ?と思うぐらいのものだった。