百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



────そして、夏。


結城は、海が見たい、と騒いだ。

水着が着たい、だの、

海の家の楽しさを永遠と語って

彼氏と行けよ、と言うと、怒ったように


「いたら遥とは会ってません!」


と、ほっぺを膨らませて言った。

花火も、お祭りも、暇なら行こう!と
誘われた。


正直、面倒だったけど

結城が子どものように駄々をこねたり

俺が行かない、と言うと、悲しそうに拗ねたりするのを見ると

なぜか心が騒いで、どうしようもなく離れがたくなるんだ。


しょうがねぇなぁ、と言うと、
結城は決まって、にこり、と笑った。

私の勝ち、とでも言うように。


だけど、結局バイトが入り、
立てた予定はすべて流れた。


そして、落ち込む結城を、俺は公園のベンチに座って慰めた。