百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



すると、結城が、ぱっ、と俺の方を見て尋ねた。


「…そういえば…あの日遥はなんであの路地裏にいたの?

…お家の人とか、心配したんじゃない?」


“お家の人”……か…。


俺は、結城を見ずに答えた。


「…別に、心配してねぇよ。

母親はいないし、親父も家に帰って来ないから。」


すると、結城は少し目を見開いて、呟いた。


「…そうなんだ…。」


結城は、そのまま何かを考えるような仕草をして、そして俺に言った。


「……じゃあ、何か話したいこととかあったら、今日みたいに、私が会って聞いてあげる。」


「…はぁ?」


俺は、笑顔を向けた結城に、怪訝な顔をして答える。


「……別に、いらない。

話したいこととか、特にねぇし。」


今日だって、俺はお前に呼び出されたからここに来ただけだし。

すると、結城が、ぽん、と俺の肩を叩いて言った。


「いいじゃん、いいじゃん!

これも何かの縁だよ!私の話を聞いてくれるだけでもいいからさ。」


結城は、にっ、と笑って俺を見上げた。

綺麗な琥珀色の髪の毛が、風になびく。


………まぁ……

暇つぶしぐらいにはなるか…。