百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜



“前借り”………?


俺は、表情を変えずに尋ねた。


「いくらぐらい借りてんだよ?」


すると、結城は少し黙ってから、小さく答える。


「………600万。」


「…?!ろ……600万?!」


俺は、目を見開いて結城を見た。


「…600万なんて……それ、高校生が借りる額じゃねぇだろ?!」


ってか、そんな額を、ぽん、と貸すなんて、絶対普通のバイトじゃねぇ。


……こいつ、いかがわしいバイトにでも手を出してんのか…?


すると、結城は静かに呟いた。


「……母さんの入院費がいるのよ。

うち、父親いないし、弟は…まだバイト出来ないから…。母さんには心配かけたくないから、親戚から借りたって言ってあるけど。」


俺は、黙ってその話を聞いた。


……ふーん。


こいつ…全部一人で背負ってんのか。


ただの変な女だと思ってたけど…

……家族に嘘ついてまで大切なものを守ろうとする、すげー心の綺麗なやつなんだな。