百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜




周くんを見ると、彼の首にも同じ金色のネックレスが付いている。







周くんと“おそろい”……!


う……嬉しすぎる〜!


こんな心の声、死んでも言えないけど…。

やっぱり今日の運勢は絶好調なんだ!



すると周くんは、すっ、と立ち上がって、私の後ろへと移動した。



「…髪の毛あげてもらっていい?」


「えっ?」



私が言われた通りに髪の毛を上げると、周くんは私の首に手を回した。



……シャラ……。







周くんは、優しく私にネックレスをつけた。


時々首筋に触れる周くんの手に、私は心臓がバクバク鳴っている。



「……はい、もう下ろしていいよ。

…似合うね。」



私の胸元に、金色のチャームが小さく光った。


周くんが、にこっ、と笑う。



きゃー!


もう、召される!


私、どこかへ飛んで行っちゃいそう〜!



私が目をハートにした

その時だった。



ドタドタドタ!!!



外の階段を急いで登る音が聞こえ、

バン!と、この部屋の扉が開いた。



「周!狸の社長が見つかったって本当か?!」



勢いよく開いた扉から、明るい茶髪の青年が現れる。


そして、クッションに寝転ぶ芝狸を見た瞬間
にっ、と笑って部屋の中に入ってきた。



「社長!どこ行ってたんだよ?

マタタビ探しの旅にでも出たのかと思ったぜ。」



……?!



すると芝狸は、カッ、と睨んで

ふさふさの尻尾をぶん!!と青年に向かって振り下ろした。


それを青年は慣れているように
するり、と避ける。



『アホか!わしが探してるのは竜ノ神の宝石じゃ!

いつも猫扱いするなと言っておるだろ!
敬語を使わんか、無礼者!』