百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜




周くんはそう言うと

私の目の前に、ゴト…、と金色の物体を取り出して置いた。







こ……これは、拳銃?!



その形は、混れもなく拳銃だった。



なにコレ!!


じゅ…銃刀法違反だ!

ヤバくないの?!



動揺を隠しきれない私に、周くんは笑いながら言う。



「これは、“鬼火銃”っていう、対妖用の特別な拳銃。

人に当たっても全く効果はないよ。
ちょっとダメージくらうぐらい。」



そのダメージが怖いんですけど……。


妖専用の拳銃なんてあるんだ?



すると、周くんは銃を掲げて、ふっ、と笑った。



「鬼火銃は、当てた妖を、妖界に帰せるスペシャルアイテム。

僕らの仕事に欠かせない武器さ。」



え!すごい!!


なんか、かっこいいな…。



「僕たちは、これを使いながら竜ノ神の持つ宝石を追い求めているんだよ。

佐伯さんにも、この鬼火銃を一つ渡すね。」



普段は芝狸の妖力で金色のネックレスに変わるから、使うときだけ拳銃にすればいいらしく

ネックレスを外すと、元の拳銃の形に変わるみたい。


なんて便利なアイテムなの?!


こんなことできるなんて、芝狸って、実はすごい妖なんじゃ……?