「九条、まだ見つからないのか?」


竜ノ神との決戦を終えてから一ヶ月。

季節も変わり、辺りの景色はすっかり夏色に変わった。

事務所に集まった私と周くんは

遊馬のその言葉に無言で視線を落とした。



………あれから……


遥は、ぱったりと消息を絶ってしまい、
生死さえもはっきりしない。

何回か、アパートの窓から隣の遥の部屋を
覗いたり、玄関の扉を叩いて呼びかけたけど

部屋にいる様子は全くなく、それどころか、この一ヶ月帰ってきてもいない。

私は、最後に見た遥の姿を頭に思い浮かべる。


……あの日、遥は紺に鬼火銃で撃たれてた。

あの傷が、もし、命に関わるほど深かったとしたら………。


どくん


心臓が鈍く鳴って、サッ、と血の気が引く。

私は、震える心を必死に落ち着けて、周くんを見た。

周くんも、無言でうつむきながら、必死で動揺を抑えているように見えた。